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1節 歴史の4要因
1 4要因…自然要因・人間要因・生産役務要因・大規模集団要因
民族・国家の発生・発展・衰退を制御する要因としては四つのものがある。気候・地形・地質などの自然要因、人間の状況対応型(行動様式)・状況対応力(能力)などの人間要因、生産役務状況対応の生産役務要因(産業)、民族状況対応(大規模集団状況対応)・国家状況対応(大規模集団状況対応)の大規模集団要因である。
自然要因…気候・地質・地形
第1 気候・地質・地形
気候・地質・地形がある。
人間要因…状況対応力・状況対応型
第1 状況対応力
人間の状況対応力(物事を対処する能力)がある。
第2 状況対応型…集団状況対応型・個人対立争い型・宗教状況対応型
1 状況対応型状況対応型(人間の行動パターン、行動様式)がある。
2 集団状況対応型…集団で状況対応し成果取得・生産役務で成果取得日本人の集団状況対応型(集団で状況対応し成果取得・生産役務で成果取得)がある。
3 個人対立争い型…個人で状況対応し成果取得・対立争いに勝利して成果取得中国人などの個人対立争い型(個人で状況対応し成果取得・対立争いに勝利して成果取得)がある。
4 宗教状況対応型…宗教状況対応・対立争いに勝利して成果取得① 宗教状況対応…神決定状況対応型・自然作動状況受入型・神操作状況受入欧米人などの宗教状況対応(神決定状況対応型〈ユダヤ教・イスラム教・キリスト教〉・自然作動状況を受入型〈仏教〉・神操作状況受入型〈キリスト教〉)がある。② 対立争いに勝利して成果取得対立争いに勝利して成果取得する。
生産役務要因…生産役務状況対応
第1 生産役務状況対応…農耕牧畜・取引業・工業・役務業・資金業
農耕牧畜、取引業、工業、役務業、資金業がある。
大規模集団要因…民族状況対応・国家状況対応
第1 民族状況対応…大規模集団状況対応
民族状況対応は同一状況対応型の大規模集団状況対応である
第2 国家状況対応…大規模集団状況対応
国家状況対応は民族状況対応をこえる大規模集団状況対応である
4要因の関係
第1 自然要因が基本要因…人間要因・生産役務要因・大規模集団要因を制御
4つの要因のうち、自然要因が基本要因となる。他の人間要因・生産役務要因・大規模集団要因を決定的に制御する。他の要因から制御されることは少ない。
2 気候・地質・地形が状況対応力・状況対応型を通じ間接的に民族・国家の発生・発展・衰退を制御
① 気候・地質・地形(自然要因)が、状況対応力・状況対応型(人間要因)を通じて、間接的に民族、国家の発生、発展、衰退を制御している。
② 気候・地質・地形、状況対応力・状況対応型を抜きにして民族・国家は語れない
気候・地質・地形、状況対応力・状況対応型を抜きにして民族、国家は語れない。
第2 自然要因の次に重要な要因は人間要因…生産役務要因や大規模集団要因を制御
自然要因の次に重要な要因は人間要因である。生産役務要因や大規模集団要因を制御する(4章生産役務要因)。
第3 その次に重要なのは状況対応力養成(人間要因)
1 その次に重要なのは状況対応力養成(人間要因)
その次に重要なのは状況対応力養成である(人間要因)。
2 状況対応力養成(人間要因)…自然要因・人間要因・生産役務要因・大規模集団要因が制御し合う
状況対応力養成では自然要因、人間要因、生産役務要因、大規模集団要因(民族状況対応・国家状況対応)が制御し合う。
3 状況対応力養成しない(人間要因)…過酷気候化(自然要因)
状況対応力養成しなくなる過酷気候化がある(3章状況対応力養成する・状況対応力養成しない)。
4 状況対応力養成しない(人間要因)…状況対応制御
① 状況対応力養成しない(人間要因)…状況対応制御
状況対応力養成しなくなる状況対応制御がある(3章状況対応力養成する・状況対応力養成しない、5章状況対応制御と民族状況対応力養成、7章状況対応制御と国家状況対応力養成)。
② 強者支配・情報強者支配(大規模集団要因)
強者支配、情報強者支配がある(大規模集団要因)。
② 宗教状況対応・自己重視(人間要因)
宗教状況対応、自己重視がある(人間要因)。
② 先進国化・平等・過度な国民存続はかる(大規模集団要因)
先進国化、平等・過度な国民存続はかるがある(大規模集団要因)。
② 国家国土取り込み(大規模集団要因)
国家国土取り込みがある(大規模集団要因)。
自然要因が人間要因を制御…気候・地質
第1 気候・地質がよいと生産役務状況対応発生
1 温暖気候・湿潤地質(自然要因)→生産役務状況対応発生(生産役務要因)
① 温暖気候・湿潤地質(自然要因)→生産役務状況対応発生(生産役務要因)
温暖気候、湿潤地質(肥沃地質)であると生産役務状況対応が発生する(四大文明発生)。
② 農耕ができる
温暖気候、湿潤地質(肥沃地質)であると農耕ができる。
③ 栽培可能植物が多いことも農耕発生の一因である
植物も豊富で栽培可能な植物が多いことも農耕発生の一因である。
2 生命養成する(人間要因)←生産役務状況対応(生産役務要因)で成果取得すると余裕
① 生命養成する(人間要因)←生産役務状況対応(生産役務要因)で成果取得すると余裕
生産役務状況対応で成果取得すると余裕ができる。生命養成(出産・育児)ができる。
② 人口増加(人間要因)←生命養成する(人間要因)
人口が増加する(人間要因)。
③ 民族状況対応・国家状況対応する(大規模集団要因)←人口増加(人間要因)
民族状況対応(大規模集団状況対応)、国家状況対応(民族を超える大規模集団状況対応)する。
④ 民族・国家発生(大規模集団要因)
民族、国家が発生する。
気候・地質○
↓
生産役務で成果取得
↓
生命養成
↓
人口増加
↓
民族状況対応・国家状況対応
(大規模集団状況対応)
↓
民族・国家発生
3 状況対応力養成(人間要因)←生産役務状況対応(生産役務要因)で成果取得すると余裕
① 状況対応力養成(人間要因)←生産役務状況対応(生産役務要因)で成果取得すると余裕
生産役務状況対応で成果取得すると余裕ができる。状況対応力養成する(人間要因)。
② 民族状況対応力養成・国家状況対応力養成(大規模集団要因)←状況対応力養成(人間要因)
状況対応力養成する(人間要因)と民族状況対応力養成(強民族化・富民族化)、国家状況対応力養成(強国化・富国化)する(大規模集団要因)。民族、国家は発展する(大規模集団要因)。
気候・地質○
↓
生産役務で成果取得
↓
状況対応力養成
↓
民族状況対応力養成・国家状況対応力養成
(強民族化・富民族化 強国化・富国化)
↓
民族・国家発展
4 四大文明地
① 四大文明地
氷河期以降最初に温暖気候となったエジプト、チグリス・ユーフラテス流域、インド、中国で民族、国家が発生した(四大文明地)。
② 寒冷気候から温暖気候になったヨーロッパ
その後、寒冷気候から温暖気候になったヨーロッパなどで、民族、国家が順次発生した。
③ 説明
わかりやすくいえば人間が物事をうまく対処する能力を身につけたため、子育てもうまくなり、食料を拾い集めるのではなくこれを作り、活動が広まって多くの人間が集まって民族、国を作り発展させた。
第2 気候・地質が悪い
1 気候・地質が悪い(自然要因)
逆に気候、地質が悪いと(氷河気候、熱帯気候、乾燥気候)、生産役務、生命養成、状況対応力養成できにくい。民族、国家は発生、発展しない。
2 気候が悪い(自然要因)…人間は気候に耐えるだけで大変(人間要因)
気候が悪いと人間はその気候に耐えるだけで大変となる。
気候・地質×
↓
生産役務で成果取得×
↓
生命養成×・状況対応力養成×
↓
民族状況対応力養成×・国家状況対応力養成×
(強民族化・富民族化× 強国化・富国化×)
↓
民族・国家発生×・発展×
第3 気候・地質が悪く(自然要因)なると生産役務状況対応(生産役務要因)できにくい
1 気候・地質が悪く(自然要因)なると生産役務状況対応(生産役務要因)できにくい
気候、地質が悪くなると生産役務状況対応ができにくい(乾燥気候となった四大文明発生地衰退)。
2 生命養成しない(人間要因)←生産役務状況対応(生産役務要因)で成果取得できにくい
① 生命養成しない(人間要因)←生産役務状況対応(生産役務要因)で成果取得できにくい
生産役務で成果取得ができにくいと生命養成(出産・育児)しなくなり人口が減少する(人間要因)。
② 民族・国家衰退(大規模集団要因
民族、国家は衰退する(大規模集団要因)。
3 乾燥化・寒冷化・熱帯化(自然要因)→人間は耐えるだけで大変(人間要因)
乾燥化、寒冷化、熱帯化がある。苛酷な気候は人間はその気候に耐えるだけで大変となる。
4 気候が苛酷化すると(自然要因)人間にとって他の自然条件(環境)も悪くなる(人間要因)
① 気候が苛酷化すると(自然要因)人間にとって他の自然条件(環境)も悪くなる(人間要因)
気候が苛酷化すると人間にとって他の自然条件(環境)も悪くなる。
② 地質(土壌)悪化
地質(土壌)も悪化する。
③ 植物・動物減少
人間が生産しやすい植物・動物も減少する。
気候・地質×
↓
生産役務で成果取得×
↓
生命養成×
↓
人口減少
↓
民族状況対応×・国家状況対応×
(大規模集団状況対応)
↓
民族・国家衰退
5 状況対応力養成しない(人間要因)←生産役務状況対応(生産役務要因)できにくい
① 状況対応力養成しない(人間要因)←生産役務状況対応(生産役務要因)できにくい
生産役務で成果取得ができにくいと状況対応力養成しなくなる(人間要因)
② 民族状況対応力養成・国家状況対応力養成しない(大規模集団要因)
状況対応力養成しないと民族状況対応力養成(強民族化・富民族化)、国家状況対応力養成(強国化・富国化)しなくなる。
③ 民族・国家は衰退(大規模集団要因)
民族、国家は衰退する。
気候・地質×
↓
生産役務で成果取得×
↓
状況対応力養成×
↓
民族状況対応力養成×・国家状況対応力養成×
(強民族化・富民族化× 強国化・富国化×)
↓
民族・国家衰退
自然要因が人間要因を制御…地形
第1 地形(自然要因)…状況対応型(人間要因)を決定
1 地形(自然要因)…状況対応型(人間要因)を決定
地形が人間の状況対応型を決定する(3章状況対応型の分類)。
2 閉鎖地形…集団状況対応型→日本人
閉鎖地形(島国)は集団状況対応型になる。日本人がある。
3 開放地形…個人対立争い型・宗教状況対応型
開放地形(大陸)は個人対立争い型、宗教状況対応型になる。
第2 状況対応型で状況対応力養成する・状況対応力養成しない
1 集団状況対応型…状況対応制御がないから状況対応力養成する
状況対応制御がないから状況対応力養成する。
2 個人対立争い型・宗教状況対応型…状況対応制御で状況対応力養成しにくい
個人対立争い型、宗教状況対応型は状況対応制御があるから状況対応養成しにくい(対立争い状況対応、強者支配〈独裁〉、宗教状況対応が状況対応を制御する)。
地形
↓
状況対応型決定
↓
状況対応力養成する・状況対応力養成しない
↓
民族状況対応力・国家状況対応力を養成する・養成しない
↓
民族国家の発展・衰退
1節2 異説
第1 異説…4要因のうちどれに重点を置くか考えが分かれる
本書のこの基本的な考え方は、今までの歴史家や社会学者の発想とは反する。異論があるであろう。ただ民族、国家のの発生、発展、衰退を基礎付ける要因として、どれに重点を置くかは別にして、自然要因、人間要因、生産役務要因、大規模集団要因の4つがあることに異論のある方はないと思う。ただその4要因のうちどれに重点をおくか考えが別れる。
第2 マルクス…生産役務要因重視
1 マルクス…生産役務要因重視
マルクスは生産役務要因を重視する。この公式的論理は長く支配的であった。
2 産業を下部構造として上部の政治が決定され政治が国民を支配
産業(生産役務)を下部構造として上部の政治(国家状況対応)が決定され政治(国家状況対応)が国民を支配する。
第3 その他の説…生産役務要因や大規模集団要因を重視
その他の説も生産役務要因や大規模集団要因を重視する。
第4 自然要因(気候・地質)が主要因
しかしながらエジプト文明やメソポタミア文明が衰退したのは、乾燥化、砂漠化という苛酷な自然要因が原因となっていることは否定できない。
第5 人間要因が生産役務要因・大規模集団要因を制御
1 世界を流浪しているユダヤ人が繁栄…ユダヤ教という人間要因によるとしか説明できない
世界を流浪しているユダヤ人が繁栄していることはユダヤ教という人間要因によるとしか説明できない。
2 第2次大戦で敗戦し資源もない日本が戦後飛躍的に進歩…人間要因以外では説明できない
第2次大戦で敗戦し資源もない日本が戦後飛躍的に進歩したことも人間要因以外では説明できない。
3 キリスト教ユダヤ教の民族国家が発展・イスラム教やヒンドゥー教の民族国家が停滞…人間要因
さらにキリスト教やユダヤ教の民族や国家が発展し、イスラム教やヒンドゥー教の民族や国家が停滞しているのも、宗教という人間要因が原因としか考えられない。
第6 自然要因(地形)が人間の状況対応型を決定
1 キリスト教・ユダヤ教・イスラム教・ヒンドゥー教…開放地形で戦争を契機に発生
加えてそれらの宗教はその発生経過をみればいづれも戦争を契機としている。その戦争は民族同士が混在し接触摩擦を起こす開放地形(大陸)で発生している。
2 閉鎖地形…戦争やユダヤ教などが発生しない
日本のような閉鎖地形(島国)では本格的な戦争はおきない。本格的な宗教は発生しない。
第7 結論…自然要因が人間要因生産役務要因を制御・人間要因が生産役務要因大規模集団要因を制御
結局、本書はまず人間要因が生産役務要因や大規模集団要因より上位に立つと考える。さらに自然要因が人間要因を根本的に制御し人間要因よりさらに上位に立つと考える。まず気候を通じて人間の生存や行動量を支配する。つぎに地形による宗教の発生で人間の状況対応型の差をもたらす。動植物界でも環境(自然)に適応した種(生物)が生き残る。これと同じではなかろうか。
次へ
1節 気候